「あなたが思うよりもずっと、わたしは浅ましいよ」夜露が低い草の雫になる時間まで君と話したこと。ぽつぽつと交わした尽きない言葉たちは大切に胸にしまい込んだ、やがて来たる暁を恨めしく思ったあの夏の終わりに。いつまでも越えられない夜を望んでいたのは、わたしだけだったのに。

未来のない口約束
理想論にのまれる
正しさに酔う君へ
確定的未来予報

皮膚の下で鼓を打っては血液を送り出す、規則的な拍動に耳を澄ませる。絶えることのない暖かな音に安堵して、そのまま深く眠りに就いた。

眠りにおちる瞬間までは

ひとつの音を共有できたならわたしたちはきっと、離れ離れになんかならなかったね。

あともうひとつ足りないよ

遠退いていく意識の中で、やさしい音が鼓膜を震わせて。次第に、暗がりへ落ちていく感覚さえも失せていくのに、その音だけは決して途絶えることはなかった。

君のいた証を残しておきたかった。いつか、君を思い出さなくなる日が来るのかもしれないと考えると、恐ろしくて堪らない。/臆病者の幸福論

過去に揺られるばかり

焦がれて深く、澱のように沈んでいく思いは、いつかこの胸を突き破ってわたしを死に至らしめるのだろう。

ひとつ、足りないものをあげる
並んで歩いてきた時間が離れ離れになるまで
この心臓がやがて動くのをやめてしまうまで
寄り添い眠った日のことを忘れてしまうまで
そう遠くない未来で君が幸せを思い知るまで
夢見る君の願いがいつしか潰えてしまうまで
お揃いだった時間を分かち合えなくなるまで
クドリャフカと約定
スプートニクは孵らない
うろをみたす
祈る孤月
言葉でしか知らない世界
届かない声を拾いに征く
マキャベリズム革命

立ち竦む臆病者 / すべて擲つならば
爪も牙も抜き去られた腑抜けよ
「お願いよお星さま」

どうしたって満たされないわたしを、あなたの吐き出したもので満たして欲しい。そうすれば、空っぽなわたしでも生きているのだと思えるのかもしれない。 / ずっと永遠だけを見つめていた

すべてのみこんだ暁に
夜明け前にはさようなら
また一歩と遠ざかるばかり

どうにもならなくて、傷つく前に逃げ出してしまったわたしを、どうかあなたの手で罰して。そうしていつまでも許さずにいて。

秘する歓び
内緒の話を明かすまで
手放してしまった過去

あの時言えなかった言葉の続きを、今度こそ伝えられる気がする。

行方のしれない感情はきっともう帰る場所を見失ってしまった。

忘れてしまわないで、きっと思い出す。
アルバムの中でなら色褪せてしまわないまま
お姫さまは小部屋で眠る
メアリーを抱いて夢の中
どったんばったん青春活劇

間隙を縫う
分かり合えない幸福論
仮初めヒーロー
がらんどうを重ねる
乾涸びるいのち
黄昏を問う
密やかに息衝く
真夜中へ踊る子どもたち

その唇を頂戴よ
終末への道のり
記憶の残る波打ち際で
破滅へと直走る
ただ表皮を撫で愛おしむ瞬間
サロメの呪い

"誰か、誰か、私の名前を呼んでくれないか。私の顔を見て、私の手を握って。他の誰でもない、私の名前を。"

セントラルドグマじゃダメだって
細胞ひとつとっても可愛くてね
フィードバックして逆再生
アポトーシスを繰り返す日々に
46本からできている僕ら

見えるものがすべてだと言うならば、記憶に刻み込まれると言うのならば。おまえはきっと、私の後ろめたさが見せる幻覚でしかない。

いつか幕の上がるまで
葬る慕情
眠らない街を征く
記憶の底に沈む
夜が遠去かる

寄り添って眠る幼子だった頃
もしも小指が痛んだならば
わらう月の見下ろす夜半
別れる人の幸福を願い
現実が落とす影

漂泊する思いの行方
言葉は交わさない約束

しあわせよ、と呟いた君の目は僕を見てはくれないだろう。彼女の瞳に映る自分自身の醜さに、僕は、そっと目蓋をおろす。

(幸せだよ、と嘯く彼は私から視線を逸らして目蓋をおろす。わたしは。わたしは、こんなにも彼が憎くて、恨めしくて、それ以上に愛おしくて堪らない。何もかも気づかないふりをして、目を閉じた)

この感情の名前は知りたくないので
海駆ける馬は終ぞ、目的地を見失ったまま。
世界が水没する夢を見た
「あのひと、とんでもない性悪だ」
あなたのいない場所で、幸せとやらを探そうとして。
悪夢に魘される夜にはきっと側にいて
いいだしっぺの無責任
ふたり、閉じた世界にて
「わたしは不幸だ」
「にぶちんっ」
世界が沈むまでの七日間
甘やかな爪痕
逃げても逃げても

記憶をたどって夢にうなされる
狂おしい思い出も、なにもかも
懐かしき見知らぬ友よ
水際にて待つ
積み上げた記憶
ミヤコワスレにお願い
「制服は喪服なのよ」
「清く正しく、美しく。それが私たちの至上命題なのです」
なくしたものもわからない
彼らは停滞したまま
手を振る姿は見られたくない
そうして僕らは矛盾したまま、明日へ向かうんだ。
溺れたこころのゆくえ
わたし、病気になります
擦り傷みたいに消えちゃえよ
浸水世界にあなたとふたり
これはありふれたおはなし
愛の檻、あなたが見えない